翻訳会社の選定と翻訳を外注するときのガイドライン
1.翻訳会社の選定
目的に合致した翻訳会社が見つかったら、費用、納期、過去の実績を問い合わせましょう。翻訳会社は守秘義務の観点から、取引企業やこれまで扱ってきた文書を公表していないことが多いです。翻訳ボリュームが多いプロジェクトや初めての取引の際は、試訳の提供が可能かどうか相談することをお勧めします。
※試訳が提出されたら、プロジェクトの品質責任者に内容確認を依頼します。このとき必ず修正したファイルを翻訳会社に返します。翻訳会社はそれに沿った翻訳スタイルや用語になるよう、軌道修正し、翻訳します。そのため、試訳時と翻訳納品時の評価者や基準が異ならないようにします。
2.見積依頼
翻訳原稿は文字認識できる電子データで提供します。秘匿性の高い情報を含む場合は、翻訳会社に機密保持誓約書の提出を要請するか、両社で機密保持契約を締結します。翻訳納品後に質問をする場合や追加指示による作業を予定しているときは、あらかじめ知らせておきます。
3.翻訳依頼
メール文面に記載して発注するか、発注書を送りましょう。
- 翻訳するテキストが全体の一部分である場合:
一部分のテキストだけの翻訳原稿を翻訳会社に渡すと、文書全体の整合性が保たれません。既存のテキストにフィットするように翻訳を依頼するには、どのような文脈で使用されているかがわかるようにハイライトをつけたファイルを作るなどの工夫が必要です。 - ネイティブチェックだけを依頼する場合:
原文と照らし合わせて訳し間違いがないか確認するのか、訳文だけを見て文法的な誤りを直すのか、より読みやすいネイティブライクな文章にするのか明確にし、目的、納期、費用に応じた作業方針を伝えます。 - 翻訳方針(ガイドライン、スタイルガイド)と参照資料の共有:
会社の部署名などの固有名詞、特有の表現は企業にとって重要です。支給がない場合、翻訳会社は決まっていないと思い、最良と思われる翻訳で仕上げます。また、ウェブサイトをできる範囲で確認します。しかし、調査元は翻訳会社任せとなり、また何を根拠に特定されたかわからず、納品後の翻訳確認に想定以上の時間を要することになりがちです。事前に参考資料や用語集を渡しておくことで、それらの手間を回避できます。 - 過去に訳した文書がある場合:
過去の翻訳と同じ箇所がある場合、同じ表現のままとするのか、より良い文になるよう書き換えてよいのか指示します。複数の参考資料がある場合は優先順位も伝えます。
4.納品物の検収
翻訳会社に質問や作業の追加指示をする場合は、いつになるか、また検収をどのように進めるかを具体的に知らせます。検収が終わったら、速やかに翻訳会社に知らせ、請求書の発行を依頼します。
※納品後の質問や検収時における翻訳のやり直しは、翻訳料金に含み無料対応する企業と別途料金を設定している企業があります。また、検収期間を含むこれらの作業期間は、最初に取り決めた納品日に含まれないため、スケジュール管理に注意が必要です。
5.プロジェクト終了
これでプロジェクトそのものは完了ですが、これまでの経緯を振り返り、気づいたことをメモとして残すことをお奨めします。また、新たに出てきた用語や翻訳会社とともに検討した用語や言い回しを用語集に加え、次回のプロジェクトに備えます。
いかがでしたか。不明な点や翻訳についてご相談がございましたら、こちらへお問い合わせください。
★本記事は、東京証券取引所の「英文開示実践ハンドブック」を参考に、IR文書に限定することなく、翻訳会社へ依頼されるときの指針となるように作成しています。
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